『思い出の握手』


 5月16日。
 今日から簡単に日記をつけようと思う。凄く簡単に。その日あった出来事をただそのまま連ねていくだけだから、簡単だ。単純だああ、でも、こんなことはじめてどうするというのだろう?その辺の疑問は全部後回しにして、ただ日記をつけていこう。
そういえば、今日、教育実習の先生方がやってきた。だいたい20歳から22歳くらい。大学2年生か3年生かはたまた4年生か分からないけど、お兄さんお姉さんって感じの人たちが体育館のステージに並んでいる。(中には30くらいか?って思える人もいたけど)いつもは出てこない校長が挨拶をし、紹介をし、教育実習生が一人一人礼をする。
 ・・・5人か。俺は中学1年生。ついこないだ中学に入学したばかりだ。小学校の頃は教育実習生が学校に来ることはなかった。だから新鮮な響きだ。俺たちの担当には誰がつくのだろう?それが気になった。
 その日は全校集会で教育実習生の紹介と担当教科、そして、定年をむかえた先生の退任式などなどだけが行われ、あとは放課後。部活する生徒は残るし、帰る生徒は帰った。俺は特になにもすることがないので帰った。

 5月17日。
 そういえば、日記をつける場合にはちゃんと天気もつけておいたほうがいいんだろうな。今日は・・・晴れ。まだ梅雨には早い時期。最近ずっと晴れてるから、また今年の夏に節水宣言とか出るのだろうか?ま、いいや。今日は普通の授業だった。明日は、教育実習の先生の授業が一個あるらしい。楽しみだ。
 あー・・・あの美術担当の・・・西って言ったっけ?その人とちょっと話したんだ今日。女の実習生。「先生」でいいか。たまたま廊下で拾い物してるところ手伝っただけなんだけどね。もう成人してるってのに、可愛い表情を見せるなーって思った。

 5月18日。快晴。
 今日は朝起きてすぐの日記だ。なんか早く起きてしまった。今は・・・6時だ。いつもは学校にぎりぎり間に合うような時間に弟に起こされるのに、自分でおきた。すぐにパソコンを開き、この日記を書いている。日記をつけるってのはいいもんだな。パソコンを使いこなせるようになれるし、とりあえず、タイピングの練習だ。
 このパソコンは父親が時折仕事の残りをするために使うくらいで、他は誰も使わない(ノータッチ?)弟もアニメだとかそのほうに夢中な年頃だ。 俺がそばでパソコンをいじっているのに興味はしめさない。だからこそ、こうやって思いっきり日記を楽しめるわけだけど。
 今日は何の授業だっけ・・・。ああ、あの先生の授業じゃないや。えーっと・・・男の先生だっけ?どっちでもいいけど。とりあえずは、いつも通りに行こう。

 5月19日。深夜1時前。曇り?
 日付が変わってちょっとたったくらい。どうも最近夜遅くなってしまってる。何をするというわけではなく。ただパソコンで色んなホームページを回ったり、チャットをやったり。俺は自分ではホームページは持ってない。なんかめんどくさそうだから持たないだけで、見る専だ。今日は何個か知り合いのページを見て、カキコをしてチャットをして。そしたら、どうしてもあの、教育実習生がはじめて俺たちの前に姿を見せたときのことが出てきた。特に、あの・・・
 美術の先生の。西先生・・・。あの先生が気になってしょうがない。特別可愛いってことでもないと思うけど、遠いからよく見えなかったが、何か他の実習生とは違って見えた。美術が楽しみだな。と。
 いつ大学に戻るんだっけ?まぁ、明日もし会ったら話とかしてみよう。美術の授業は明後日だ。

 5月20日。多分晴れ。
 今日は学校から帰ってきてすぐパソコンを開いてこの日記を書いてる。
嬉しいことがあった!あの西先生と話せたんだ。でも、色んな生徒が集まっていた。俺と一対一じゃなかったけど。それでも話せてよかった。いつ大学に戻るかというのは確実に出る話題で、隣のクラスの・・・えっと、杉浦って名前だっけ?の女の子が聴いていた。今回の教育実習生の男の先生でお気に入りがいるらしい。あるレストルームみたいなところで話したのだが、西先生とその男の先生と、国語担当の・・・田中先生(女)の3人を10人くらいの生徒で囲んで話した。教育実習は2週間だそうだ。あと10日くらいか。それまでにもっと近づけるといいな。
 俺から竹内先生に直接話すことはできなかったが、みんなと分け隔てなく話してくれたので楽しかった、やさしい、いい先生だ。美術の授業早く来ないかな・・・。
明日は数学担当の小出先生(男)の授業だ。美術の授業、早く来ないかな・・・。
 そういや、中谷が調子に乗って写真とか撮ってたな、先生が持ってきてたインスタントカメラで自分撮ってたな、どうせなら俺と先生をうつしてくれ・・・と言いたかったけど・・・。

 5月21日。晴れてるね。
 ここ最近ずっと晴れが続いている。俺の心も晴れ模様・・・なんて気のきいたセリフを言ってみても聴かせる相手がいないわけで。今日は西先生と話せなかった。授業が混んでいたか、たまたまタイミングが悪かったのかはわからないけど、話せないと少し寂しい。何、この気持ち。明日は話せるといいな。
 同じクラスで隣の席に座ってる前田に「お前西先生に気があるだろ?!」と言われて困った。ほっといてくれよ。お前もあるのか?西先生に何か。お前、2組の上原さんが好きだってついこないだまで言ってたじゃないか。告白するとかしないとか。俺にだって初恋がなかったわけじゃないけど、知らない間に終わってた程度で、今その子に対しては何もない。ただ、あまり女の子と話しなれていないせいもあって、用事があって話しかけるときとかも妙に緊張する。西先生に話しかけるときも、考えるだけで緊張する。なおしたほうがいいのだろうか?なんか眠いや、寝よう。
 今日は・・・そういえば美術の授業だったんだよな。でも、あの先生の授業。西先生の授業はなかった。すっごく落ち込んだ・・・。やっぱりこれは書かないほうがよかったかな。

 5月22日。金曜日。曇り。
 来週の真ん中辺り台風が来るとかテレビでやってた。休みになるのかな学校。西先生と話せなくなるのは嫌です。一日でも長く話していたいです。・・・でも、どっちにしろあと1週間か10日くらい過ぎれば帰っちゃうんだよね。今日は初めて2人きりで話せた。すっごく緊張して何を話したか覚えてないけど楽しかった。色んな情報を引き出せた。例えば、向こうでの暮らしのことだとか。あ、そういえば東京の大学行ってるんだよね。大学生活は大変だけど楽しんでいるそうだ。どんな暮らしをしてるんだろうか?彼氏はいないらしい。今大学4年生で就職活動で忙しくて、あまり考えられないそうだ。もしかして、俺にチャンスがあるか?そう考えること自体単純かなぁ。土日は学校にいないのかな。土曜日くらいはいるかな。学校に用はないけど、行ってみようかな。もしかしたら偶然出会えるかもしれないし。あ、日付が変わった。土曜日だ。何時くらいに行こうかな。10時でいいか。

 5月23日。どんよりとした曇り。雨は降っていない。
 学校に行ってきました。本当に用がないのに。普通なら学校は休みで、部活をやってる生徒だけが学校に行く。西先生は美術部に顔を出しているらしい。もしかしたら美術室にいるのかな、と思って美術室に行ったけれど、そもそも美術部は土日活動してないことを知っていてがっかりした。やっぱりいないのかな・・・。
 とぼとぼと生徒玄関に向かうといた。正確には生徒玄関のすぐ向かいにある部屋。第2レストルームでコーヒーを飲んでいた。目が合う。
一瞬立ち止まってしまった。いや、西先生から見たら一瞬じゃなかったかもしれない。休日に偶然出会えた喜びと、本当に会えるとは思っていなかったことに困惑して固まってしまった。でも先生は、「あら、いらっしゃい」と俺の顔を覚えてくれてたみたいで、冷たい麦茶とお菓子を出してくれた。他の先生は部活をみているらしく、西先生だけが、職員室にいて。大学に提出するレポートの合間に休憩をしていたそうだ。
 先生は将来の夢だとか、何をしたいかとか色々語ってくれた。俺にも色んな質問をしてくれた。高校はどんなところに行くのか、何をするのか。卒業したらどうするのか。中学1年生の俺に聴くなよーとか思いながらも、楽しく話した。時々言葉につまる俺をやさしくフォローしてくれる西先生は、本当に大人なんだなーって思った。でも、時々可愛いんだよな。笑顔なんか同年代の子とは比べ物にならないくらい可愛い。・・・同級生に興味がないとかじゃないけど、でも今は西先生に、この8つも違うこの女性に強烈に惹かれている。それだけは確実で。
 このときに何かすごく重要なことを言った気がする。何だっけ。・・・・先生、大学を卒業したら、地元に帰ってきて、それから先生になるんだって。美術の先生に。きっといい先生になれるよって言ってあげたんだ。嬉しそうにありがとうって言っていた。その時の笑顔が忘れられず、今夜も眠れない。
 明日は久々に外に遊びに出てみよう。何かいいことがありそうだ。おやすみ、西先生。

 5月24日。朝。日曜日。
 気づいたら昼前だ。両親も弟もいない。母さんが書置きをしていた。「家を出るときは鍵をしめて」隣に鍵が置いてある。どこに行こうかな。それよりも、今日西先生は何をしているのかな?もしかしたら出会えるかも・・・という淡い期待を持っていたわけで。
 誰かと一緒に行く気はない。たけちゃんもみっちゃんもどーせ寝てるんだろ。高崎辺りは中学入ってすぐできたっていう彼女と遊びにいってんだろ。よーし、何かあることを期待して行ってきます。

 5月24日。夜。少しずつ雲が増えて。
 見てしまった。思い出したくない。いないって言ってたじゃん西先生・・・。なんであんなに楽しそうなんだよ・・・。もういいや、書くことないし。今日はやめとこう。

 5月25日。何もする気が起きない。
 西先生・・・。ダメだ。何も書けない。書くことがない。西先生を避けてしまった。もう寝よう。おやすみ、西先生・・・。

 5月26日。
 天気なんてどうでもいいや。台風は明日か明後日に来る。イヤダ。イヤダイヤダ・・・。ヤッパリ西先生トスコシデモナガクイタイ・・・。
 弟に心配されてしまった。ガキにはわかんねぇ悩みだよ。あっちいってろ。お前はもう寝るんだ。オレハイツネルンダ・・・

 5月27日。
 なんで・・・?西先生から話しかけてきた。もう俺のことなんてどうでもいいんだろうに。ただ、明日授業終わったら話さないかということだけだったけど。何を話すんだ?というか、今から教師になろうかって人が個人的に話なんていいのか?・・・いい機会だから、日曜日のことを聞いてみよう・・・

 5月28日。なんでだよ。
 今昼間だけど。家にいる。なんでか?台風だ。台風が直撃した。警報もほぼ1日出るかもしれないということで、学校は今日は休み。明日は朝7時の放送待ち。イヤダ。せっかく西先生が一緒に話そうって言ってくれたのに、イヤダ。なんだよ、神様なんていねぇんだろ?俺のちょっとした幸せでさえ邪魔するんだろ?それくらいそっと見守ってくれていいじゃないか・・・。俺が何したっていうんだよ・・・。最悪な気分で不貞寝だ。じゃーな。夢もきっと最悪さ。じゃーな。

 5月29日。授業は最後。
 今日で教育実習生は最後。でも、実習が最後であって、式みたいなのは来週の月曜日にある。この土日はレポートをまとめるために学校に缶詰状態だそうだ。土曜日は・・・会いにいけないな・・・。今日は忙しかったのか、話す機会がなかった。いや、俺はあんまり話したくなかった・・・というのかな・・・。なんか感情的になりそうだ。明日も一応・・・学校にいってみよう。もしかしたら、また休憩中に出会えるかもしれない。
 ・・・あれ?電話?

 5月29日。電話は。
 西先生からだった。番号はクラス担任の小川先生から聴いたそうだ。電話越しに伝わってくる優しい声。どきどきする・・・。
 話の内容は、台風があったからごめんねということ(先生が悪いんじゃないよ)、何の話をしようとしてたかってことだった。明日また学校に来てくれと言われた。長い話になるのかな?
 また眠れなくなるかな。わかんない。もう日記を書くのはやめておこう。寝よう。明日に備えて。

 5月31日。
 昨日日記を書こうと思ったけど、できなかった。学校から帰ったらすぐに親戚の家に行くことになってしまった。おばちゃんにお小遣いをもらった。
 土曜日、学校に行った。ちゃんと西先生と話せた。いつものレストルームで。色んなことがあったねーって。
 そうそう、先週日曜日に見た・・・、先生の隣に歩いてた人・・・。実は、あの時先生は俺に気づいていたらしい。こそこそついていったからかな?で、隣を歩いていた人は、別になんでもなくて、地元であるこっちの同級生らしい。その日にプチ同窓会をやるとかで、たまたま一緒になったから歩いてたんだとか。よかった。彼氏とかじゃなくて。
 なんでわざわざ俺に話してくれたの?なんで俺と話してくれるの?先生・・・俺、いやだよ・・・
 先生と・・・離れちゃうの・・・。いやだよ・・・。一言・・・伝えたい気持ちがあるんだよ・・・。

 6月1日。式があった。晴れてる。
 俺は決心した。なんとかしたい。この気持ちをなんとかしたい。レストルームにいったらたくさん生徒がいた。中谷もいた。みんなで写真を撮った。その際、俺の住所をメモ帳に書いておいた。けど、それはみんな書いていたので、特別なことじゃなかったけど。西先生のすんでる場所も分かった。これで手紙も送れるぞ・・・。その前に・・・俺の存在を・・・もっと焼き付けておいて欲しい・・・。だから・・・・・・
 今は夜の9時。今から西先生に手紙を書こう。あ、でもどうやって渡せば・・・。えい。調べよう。住所はこっちの実家の住所ももらった。調べよう。
 そして、ポストに入れておこう・・・。自分の気持ちを正直に書いた手紙を。直筆のほうが気持ちがこもっていいだろう・・・。絶対先生を忘れないよって意味も込めて・・・あの歌の歌詞を書いておこう・・・。

 6月1日。夜10時
 『君を忘れない まがりくねった道をゆく・・・』スピッツのチェリーの歌詞。俺が大好きな歌の歌詞。西先生も大好きだって言っていた歌の歌詞。『愛してるの響きだけで強くなれる気がしたよ ささやかな喜びをつぶれるほど抱きしめて』先生と出会えたことが喜びです。
 ちゃんと好きでしたって書いたし、あとは・・・先生に渡すだけ・・・。

 6月2日。奇跡が、起きた。
 というか、泣いてしまったんだけど、さっき。
 西先生の実家もちゃんと見つけたんだ。チャリで真夜中の真っ暗な道を走って。全然知らないところだったし、でも、どうしても見つけたくて・・・。だいたい探すのに1時間近くかかっただろうか・・・。わかんない。今はついさっき起きた出来事で胸がいっぱいになっている。
 それで、ポストに手紙を入れて、帰ろうと道を引き帰した。けど、何を思ったか俺はチャリを学校に向けたんだ。
 何故そうしたかは俺もわからない。でも、もしかしたら・・・って思ってた。もしかしたら・・・先生はまだ学校にいるかも・・・って・・・。いるわけないよね。もう夜中の1時とかそれくらいの時間だし、こんな時間まで残ってる先生なんているんだろうか?でも・・・。
 中学に向かう坂をのぼっていった。いつもは歩いてのぼってるけど、長くて急できつい坂。そういえば、西先生はチャリで通ってたな。2度くらい見たんだ。挨拶してくれた。・・・それはいい。
 俺は何をしてんだ・・って坂の中腹を過ぎたあたりでやっぱりやめよう・・・と思ってチャリをおりて、引き帰そうとしたときだった・・・。
 車のあかりが俺をてらした。車1台と・・・原付1台と・・・チャリが2台・・・。え・・・?何??誰??・・・原付に乗っていたのは、松平先生。元から中学の男の先生で、面識はあった。いち早く松平先生が俺を見つけて、話しかけてきた。
 「どうしたの?こんな時間に」
 「あ・・・いや・・・」
と、チャリのほうに目を向けると・・・。
 ・・・西先生!!(と他の教育実習の先生)
 「その・・・西先生に・・・お話が」
 「んー?そうか。それじゃあお話を、どうぞ」
気を使ってくれたのか、西先生を残して坂をおりていった。
 「どうしたの?」
 「その・・・」
 「ん?」
 「先生がいっちゃうってすっごく寂しいなって思って・・・」
 「私も寂しいな。この2週間すっごく楽しかったし」
 「はい・・・」
 「あなたとはすっごく仲良くしてもらって、励みになったんだよ。この実習」
 「ほ、ほんとうですか?」
 「ええっ!授業がうまくいかなくてへこんだときもみんなが明るく接してくれて、特に、あなたとはいい思い出がたくさんよ」
 すっごく嬉しかった。ちゃんと俺のことも見てくれてたんだなって・・・。
 「あの・・・」
 「ん?」
 「手紙を・・・そのポストに入れておいたのでみてください!」
それが精一杯の気持ちだった。好きだなんて面と向かっては言えない。
 「うん、わかった・・・」
ちょっと西先生も感動してるのかな?少し・・声がふるえてるみたいだ・・・。
 「はいっ」
 「え?」
何かと思うと、西先生は自分の右手をさしだしてきた。
 「握手。握手だよ。これからもよろしくねっていう」
・・・先生・・・泣いちゃうよ俺・・・。
 その時の、握手の感触は・・・まだ消えない・・・。手はまだ洗っていない・・。洗えないよ。
 しっかりと俺は先生の手を握った。ちょっと涙が・・・。あのときの俺はかなりふるえてたに違いない。少しでも長く握っていたくて、強く強く、西先生の手を握っていたに違いない・・・。
 「私はキミをずっと忘れないよ。すっごくいい子だった。忘れないよ」
この言葉をずっと胸に刻みつけよう・・・。
 っそして一瞬だけ抱き合って、別れを告げた。先生はこう言ったんだ。
 「私が大学卒業してこっちに戻ってきたらいつか遊ぼうよ。映画でもなんでも付き合うよ」
 「うんっ!」
 「そのとき私に彼氏がいても、ね」
笑顔・・・かわいかったな・・・。
 帰ってきて、母さんがたまたま起きてきて、そして簡単に話して、そしたら涙がとまらなくなって、またしばらく泣いた。ずっと泣いた・・・。まだ残ってるな。先生、手紙見てくれたかな。返事くれるかな。どきどきするや。布団にもぐろう。

 6月15日。あいにくの雨。
 先生が大学に戻ってからしばらく日記を書く気にならなかった。それでもちゃんと学校には行ってたし、ついこの間終わった中間テストもそれなりに頑張った。結果は・・・、並。初めてのテストだったけど、こんなもんなんだって難しかったような簡単だったような。
 そういえば、今日西先生から手紙が届いたんだ!大学に戻ってから忙しくてすぐ返事書けなかったらしい。いいよ、返事来るとは思わなかったから。
 大体・・内容を要約すると・・・。
すっごく楽しかったこと。気持ちはすごく嬉しかったこと。でも・・・、ちゃんと受け取れる自信がないからごめんなさいということ・・・。これからも先生になるためにがんばるからということ。将来がんばってねということ。
 そして・・・「私は、キミみたいな生徒と出会えて幸せだったよ。キミみたいな子がたくさんいる学校の先生になりたいな」
 「あの時の握手を励みにして頑張ります。キミも部活に恋に勉強に頑張ってね。ありがとう」

 ・・・また・・・泣いてしまった・・・。俺にもあれは・・・一生の思い出の握手だ・・・・。




─完─





〜作者あとがき〜

この小説は俺の実体験をもとにしたお話です。話の流れや主人公の気持ちなどがわかりやすいようにあえて日記形式としました。書くときはすごく苦労しましたが・・・。もちろん、実話をもとにしているのですが、実在の人物名、会話などではありません。同じような体験をしたというだけで、名前などはかえてありますし、要所要所ではぶいたり、演出なども加わっています。
 俺はもうそのときの先生と同じくらいの年になりましたが、その時のことは鮮明に覚えています。いい恋してたんだなぁって今思い出して恥ずかしくなりますが(笑)
感想などいただけたら嬉しいです。ここまで読んでくれてありがとうございました。